森井のコラム

2007年6月1日

訪印後の世界観

近年の世界経済の発展には目を見張るものが多いと言えるでしょう。
BRICsと言われる発展途上国の経済成長は目覚しく、中国経済の伸びは人知を超えるものとなってきました。
去年の初めての中国訪問で感じたあまりにも急速な実体経済の拡大を目の当たりにした後、10年ぶりの訪米においてはその資金供給が先進諸国の金融市場から成されていることを実感しました。
従来、欧米諸国では様々な組織による退職年金基金が形成されてまいりましたが、確定拠出型年金制度創設等によって運用資金は加速度的に膨張し、REITや様々な投資ファンドがこれらの資金運用の受け皿として成長しました。
今春、新たな訪問先として短期間ではありましたがシンガポールとインドのムンバイを訪れてまいりました。
近年、インドへの投資ファンドも脚光を浴び、急速な投資規模の拡大を見てきていたため、インドも中国同様に急速な経済開放政策に基づいたインフラの整備と企業活動の拡大がなされているものと考えておりました。
しかし、ムンバイ到着後に目の当たりにした光景は、道路や鉄道網の整備は遅々として進まず、市内中心部の建築物もほとんどが老朽化し、朽廃寸前のものも多く、一部に新築の外国人居住者向け住宅やIT関連企業があるものの、まるで、イギリスからの独立後そのまま放置された街のような感がありました。
困窮に伴う農村からの人口流入によるスラムの拡大と、維持状態の悪いオンボロタクシーのすさまじい増加によって、道路整備の進まぬ市内のいたるところで渋滞が発生し、輸送能力は低い状態でした。
また、インド最大の証券取引所であるにも関わらず、ムンバイ証券取引所の前の通りには朽廃寸前の低層建物が並び、挙句の果てには物乞いまで横行しておりました。

1. インド経済の大規模な発展にはまだ時間がかかる。
2. インフラの整備には資金は不足している。
3. IT関係者や上流階級を除く庶民の教育水準が低く、生産性の向上には階級問題と教育問題を解決する必要がある。などが挙げられます。
ただ、時間はかかるものの、これらの問題が着実に解決されれば、中国に続き圧倒的な経済成長を秘めていると考えられます。

他方、ブラジルもバイオエネルギーの供給源としての地位を築きつつあり、BRICsを初めとしこれらの巨大な人口と国土を有する国々が主として世界経済のけん引役となることは火を見るよりも明らかでしょう。
一方、シンガポールはアジア諸国を結ぶ空路が整備され重要な交流地点として栄えてきました。投資会社や金融機関が拠点事務所を置く上で重要な点である税制度においても優遇税制を敷き、政府による積極的な経営情報提供や法的インフラの整備が進められています。
これからの日本にとって、これら新興諸国と渡り合う上で重要なことは、我々日本の優れた部分を十分に理解した上で活用することでしょう。
例えば、国内に優秀な人材が居り、活性化の可能性を有する個人金融資産が多額存在し、テロのリスクが極めて低く、資金調達コストは非常に低いことなど、なかなかこれほどの有利な環境は揃う物ではないと思います。
これらを元に新たな日本の金融ビッグバンとなりますでしょうか。
今後に期待したいと思います。