森井のコラム

2006年10月1日

病院と投資リスク

医療事業と一般企業活動は税制の違いで似て全く否なるものといえます。
全国に9000棟余り病院のうち苦しい経営状態にあるものも多く、所有と経営の分離(オフバランス)などは進んでおらず、不良債権化が進行しているものと考えられます。
医療事業では利益処分が禁止されているため私立病院では経営者の借入金返済の源泉として収入を増加させ経費処理しているケースが大半です。
また、巨額の設備投資を要する事業資金を多くは院長の個人補償で借り入れており、債務超過に陥った場合、建設資金の元本返済に支障を来したり、相続の際に病院が破綻するなど経営が不安定になっていることがあります。
国内人口の高齢化の進行に伴う保険制度改革から医療事業と介護事業の棲み分けが始まり、病院の再編も始まりました。
プロ経営者として鍛えられていない医師による経営改革にはまだまだ収益改善の余地があり、この部分を適正化すれば国家の医療・介護政策合理化の実現が近づくことになるでしょう。
高齢化する状況から、今後ますます医療や介護は社会的に大きなウエイトを占めることとなり、適確な病院等の経営改革を行わなければ日本社会の将来に禍根を残すこととなるでしょう。
債権債務の正常化と事業経営改善を実現させることで医療経費削減により経営者・病院オーナー・医療財政共々収支の改善が成されるばかりか、地域医療の健全な存続が可能となります。
また、投資家にとって重要なことは、広域的な背後地を有する特定科目や高度医療特化型病院と、通常の医療・介護を中心とした地域密着型施設など、それぞれの病院の持つ投資リスクを適正に把握することといえるでしょう。
その際、様々な事業改善ステージ(取得時、改善途中、イグジット時等)におけるこれらのリスクを反映した適確な鑑定評価によって、変容する投資効果の確認と資金調達力の確保を行うことも肝要でしょう。
最も重要なことは医療・介護事業者と医療コンサルタントや投資家と我々のような鑑定機関との間に信頼関係を構築することで始めて事業体としての病院の将来の事業収益を適正に分析することが可能となり資金調達もスムーズになります。
一般の不動産とは趣を異にした病院評価では、様々な病院経営に関わるデータや経験をもとに安定的な家賃負担能力の把握を行うことがポイントです。
これまで病院の投資物件評価に携わった経験から言えることは、病院は未開拓分野でもあり新たな投資対象として適正な投資価格で購入することが出来ることと、需給状況を見ても魅力的な状況といえるでしょう。