森井のコラム

2016年11月1日

風見鶏

2008年のリ-マンショック前を思い起こすと、その数年前の初夏にニューヨーク・シカゴ・ロスとアメリカの不動産の流動化市場の視察に訪れた際、ニューヨークで滞在したホテルでたまたま見かけた日系人向け日本語テレビ放送でホームエクイティローン(自己住宅の担保力を使いどんどん買い増しして行くことのできるノンリコースローン)の活用を一般人に勧めている番組を見た。
また、どこも住宅価格がその数年でホテルに置いてあった不動産物件情報誌を見て2倍になっているように感じた。
アメリカは好景気で、不動産はどんどん値上がりを続けると言ったまるで日本の平成バブルのような雰囲気に似たものを感じたが、次に訪れたシカゴのホテルでも同じ不動産会社の1-2カ月新しい不動産物件情報誌を見つけ、ニューヨークから持ってきたそれと見比べてみると、ほとんど売れていないばかりか値下げしているものがあった。
ピークアウトしているな、この感覚はニューヨーク訪問時に使っていたロシアから来た移民のハイヤー運転手が、借金とは言え自前のメルセデスを持っていたのと、ニューヨークブロンクスの自宅を担保にマイアミに別荘を持っていると言っていたことを考えると、幾らなんでもバブっているなと思ったことから来ている。
2007年の夏の終わり、ある友人がニューヨークのSEC(証券等監視委員会)が、住宅専門金融機関のファニー・メイとフレディマック(日本のバブルの立役者の一つの住専と似たもの)に調査に入っていると言った。
当時、日本でもサブプライムの話が話題に出始めたところだったのでサブプライムの事だろうと聞くと、その友人はいやいやプライムの調査に入っているらしいと言った。
低格付けではない普通債権の位置づけのプライムローンまで毀損しているという事は、低格付けのサブプライムは破たんするのは必定と思った。
その後、サブプライムを加工したABS CDOなどの複合債権がかなり出回っていたらしいとの話を聞き、背筋が寒くなった。
本格的な市場崩壊の予兆が出てくるのだろうと考え、これより後は鑑定評価においても将来予測を保守的に舵を切ることとした。
そのお陰もあり、リーマンショックでは評価案件もかなりのウエイトで大きな影響を受けることなく会社の業績にもダメージとなることはなかった。

昨今、その時と比べ全く違う状況が続くことが違う意味で非常に気掛かりである。
一つに、マイナス金利を来たすような世界的な金余りから来る投資資金の積み上がり。
次に、J-REITをはじめとした大手の不動産投資においては、LTV(借金割合)が30-50%と非常に低く、大きな調整局面に於いてもデフォルトし難いこともあり、プレミアム物件のマーケットは比較的安定している感覚がある。

しかし、どう考えても本来の市場原理から逸脱しているように感じます。
この気持ちの悪さについては感じている方が多いと思いますが、これと言ったものが出てこないと方向転換しづらい状況とも言えます。
まるで、平成バブル崩壊の前夜の感覚になりつつあるのかもしれません。
平成バブルやリーマンショックを越え、日本だけでなく世界的にもかなりの耐性は準備されているようにも見受けられます。
今すぐどうこうと言ったことは無いかもしれませんが、何か問題が起こるとそれ以外の弱点が露見しこれが連鎖することとなりがちです。
果たして、その隠れたる弱点とは何か。
先日のウエルスファーゴや、ドイツ銀行のように世界的にみた場合は桁が大きくなると考えられるため注意が必要です。

そうは言っても、世界全体が手詰まりからこの金余りの状況を維持せざるを得ないと考えているため一見安定しているかのようです。

今後は予断なく、予兆を捉えるべく様々な情報収集に励むことにします。
また皆様と情報交換など、宜しくお願い致します。