森井のコラム

2015年4月30日

病院リートへの道

リーマンショックの前の資産流動化が広がるなか、各種不動産の流動化が一気に進み始めました。
オフィスからレジデンシャル、ホテル、リテールやロジスティックなど広範囲に不動産の顔触れが増えて行きました。
当時、一部の投資家から、「病院」の流動化は出来るのかといった話が出始め、弊社にも色々相談が来るようになり、具体的な売買の際に流動化に伴う鑑定評価のご依頼が続きました。
その後、病院の流動化の難しさもあり、リーマンショックも重なったことで急速にその流れは衰退してまいりましたが、引き続き流動化とはまた違った切り口で売買などに絡む病院の鑑定評価の経験を積んでまいりました。

この十年で、稀なアセットにも拘らず、すでに18件の鑑定評価実績があります。

老人ホームなどのシニアアセットの流動化が本格化する中、病院リートの実現に向け今までの経験がようやく役に立ちそうです。
「病院」という公益的役割の大きな特殊なアセットが市場の資金を生かし、公益財産に民間資金がと一体的に寄与する道が出来ることで、国民の有益性も最大化される道が生まれ、また、老朽化する施設の再整備も含めた流れの活性化にも活力を与えることになると思います。
戦後の高度成長期以降活躍した病院の建て替えや、資金不足による経営破たんなどから来る病院の閉鎖といった悲しい状況を目の当たりにすると、官民が一体となるような新しいスキームから施設運営の改善に繋がる道が開かれることが出来れば、今後の公益事業を営む方々にとっても、曙となるのではないでしょうか。
今後、PPP※と言った、公益資産の流動化などが進むことが出来れば、民間に滞留する余裕資金の新たな働き口となるように、かつて公共事業の効果が乗数効果を生みだしたのとは一味違う乗数効果が社会的に発揮されることで、人口減少局面に差し掛かった国土における新たなる光となる事が考えられます。
医者不足や看護師不足といった医療業界の切実な状況に対しても、執務環境の改善や医療機器整備の拡大など、様々な病院としての機能改善に道が開かれると思います。
私達は、病院評価において、国土交通省が唱える「評価対象不動産の事業特性を踏まえた当該事業の持続性・安定性について分析」を行うことが重要と考え、新たな情報収集に努め更なる精度の高い鑑定評価を進めてまいります。

病院リートパブリックコメント用
病院不動産を対象とするリートに係るガイドライン(案)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/PcmFileDownload?seqNo=0000127949

※[PPP]とは
公民が連携して公共サービスの提供を行うスキームをPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ:公民連携)と呼ぶ。PFIは、PPPの代表的な手法の一つ。PPPの中には、PFI、指定管理者制度、市場化テスト、公設民営(DBO)方式、さらに包括的民間委託、自治体業務のアウトソーシング等も含まれる