森井のコラム

2011年4月1日

彷徨う投資マネー

世界はギリシャ問題がクローズアップされて以降、ヘッジファンドの売り浴びせに大きく揺れ、金融市場は動揺しました。
為替市場の急激な変化も様々な投資家のスタンスにも大きな影響を及ぼし、ヨーロッパ市場に止まらずリスク回避行動が目立ちました。
ようやく一服感が出てきたものの、その行く末に方向性はまだ見出すことが出来ずに皆が疑心暗鬼に陥り、冷静な投資活動が停滞ぎみです。
今年の2月以降に急速に広がったアメリカの景気回復や、中国の成長期待に対する楽観からきた世界市場の急回復にも、ヘッジファンドの介入が大きかったように思えます。
1990年代以降、アジア通貨危機などからヘッジファンドは世界経済に大きな影響を与えていますが、資本主義経済の下、抜本的な規制をかけることは並大抵ではないようです。

アメリカでは、銀行の自己投資比率を大幅に規制するボルカー・ルールが定められ、7年後に始動することとなりました。
過剰流動性の原点にある過剰な信用創造を規制することで、金融市場が機能不全に陥るのを未然に防ぐことを主眼としていますが、この規制による自己資本比率の上昇は信用収縮を伴います
景気の減速も予測されるこの「もろ刃の剣」は、今回のような金融危機を防ぐ「伝家の宝刀」となり得るか、まだまだ未知の領域です。

近年のインターネットの拡大やITの発展に伴う急速な合理化による劇的な生産性の向上で、資本主義経済の成長は蒸気機関が発明された以後の産業革命時代を彷彿とさせます
そのことで、求められる労働の質がより高度化し、先進国諸国では単純労働に対する社会的価値が急速に低下し就労環境が悪化しました。
最近では、中国においても労働コストが急激に上昇してきたことで、波状的に周辺の発展途上国へ生産拠点が移動しています。
中国以外の発展途上国の生産能力も急速に向上しつつあり、今後劇的な過剰生産性時代に突入する恐れさえあるように思えます。
資本主義の行き過ぎは過剰需要を喚起し、本来必要でもないものまで生産し、どんどん消費することでようやくその経済システムを維持している感さえ有ります。

「もったいない」なんて言う言葉はスポイルされ、「エコ」と言う言葉が闊歩している状況に関わらず、その裏では大量消費に支えられているこの世界は一体どうなってしまうのか。国家、いや、世界百年の計に立った冷静な行動が求められ、政治をはじめ一人ひとりの毅然とした行動が今までになく必要です。